木材は細胞構成がハニカム構造であることから、繊維方向の強度がきわめて大きく、しかも軽いという構造材としてすぐれた特徴をもっています。ただし横方向の強度は縦方向の強度の1/10ないし1/20程度です。
木材は水分の増減によって細胞壁の寸法が増減し、全体として伸縮します。その程度は、接線方向がもっとも大きく、含水率1%当たり0.2〜0.4%程度で、放射方向がその約1/2、繊維方向がその約1/20です。これらの値は比重の大きい材ほど大きく、このような方向による収縮・膨張の違いが狂いや割れの原因になります。
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心持ち材は割れをさけるために、あらかじめ背割りをいれます。 |
木材は伐倒した生材状態では、大量の水分をふくんでいます。木材の場合、水分状態を、水分のまったくない(全乾)材の重量に対する水分割合を、含水率(%)としてしめしますが、生材ではこの値が50%をこえ、ときとして100%をこえます。これが乾燥していくとき、はじめに細胞の空孔にある自由水がぬけ、含水率が30%以下になると細胞壁にある結合水が減少しはじめ、これにともなって木材は収縮し、強度も大きくなっていきます。最終的には外気の温度・湿度にみあった状態まで乾燥して平衡します。このときの含水率が日本の全国平均は15%で、気乾含水率とよびます。
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乾燥すれば、強度は増しますが、加工はしにくくなります。加工しにくい場合は、水を含ませてあげると加工しやくなります。 |
木材は、老化に対してはきわめて強いですが、多くの樹種は腐朽や虫害などの生物劣化には弱いです。(腐朽は腐朽菌の侵入により、木材が分解される現象で、温度20ーC以上、含水率30%以上で活発におこる)
・ヒノキ、ヒバ、クリなどの樹種は、心材に抗菌性をもつ成分があって耐朽性が高いです。
・アカマツ、エゾマツ、ブナなどの耐朽性はきわめて低く、辺材は樹種に関係なく腐朽しやすい。
●虫害
虫害のおもなものはシロアリで、水分が多く腐朽している木材にひきよせられます。
(ヒバ、コウヤマキなどは耐蟻性が高く、アカマツ、カラマツなどは低い)
木材の比重は、樹種によって、大きくことなります。一般に針葉樹は0.3〜0.5、広葉樹は0.5〜0.7程度です。
もっとも軽いバルサ材が0.17、もっとも重いとされるリグナムバイタ材が1.23といわれています。
木材は熱伝導率が非常に小さく、しかも比熱が大きいので断熱的にきわめてすぐれた材料です。
木材は外気の湿度に対応して、吸湿したり放湿する性質があり、熱をつたえにくい性質と相まって、結露しにくい特性をもっています。
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