桂(カツラ)その特性と用途を紹介しています
桂(カツラ)

桂(カツラ)

桂(カツラ)の特徴

カツラ科カツラ属の落葉広葉樹。散孔材
学名 : Cercidiphyllum japonicum
日本各地のほか、朝鮮半島、中国にも分布。街路樹や公園樹に利用され、アメリカなどでも植栽されている。日本で自生するものはブナ林域などの冷温帯の渓流などに多く見られる。高さは30mほど、樹木の直径は2mほどにもなる。葉はハート型に似た円形が特徴的で、秋には黄色く紅葉する。落葉は甘い香り(醤油の良いにおいに似ている)を呈する。成長すると主幹が折れ、株立ちするものが多い。日本においては山形県最上郡最上町にある「権現山の大カツラ」が最も太く、地上から約1.3mの位置での幹周が20m近くにまで成長している。中国の伝説では、「桂」は「月の中にあるという高い理想」を表す木であり、「カツラ(桂)を折る」とも用いられる。しかし中国で言う「桂」はモクセイ(木犀)のことであって、日本と韓国では古くからカツラと混同されている(万葉集でも月にいる「かつらをとこ(桂男)」を歌ったものがある)。

桂(カツラ)、木材、針葉樹、広葉樹、合板、集成材、フローリング、家具


 桂(カツラ)の材質

やや軽軟材で木質は密。
加工は容易。
やや狂いやすい。
仕上げは良好。
趣味の木彫りに最適。


 桂(カツラ)の用途

刻材、家具材、まな板、製図板、碁・将棋盤、額縁、漆器木地、楽器、彫器具材、造作材、ベニヤ材、鉛筆。


 桂(カツラ):木材の特性

辺心材の境界は明瞭。
心材は褐色。
辺材は淡い緑黄色。
色は個体差がある。
年輪はやや明瞭。


 桂(カツラ)の産地

日本
中国






広葉樹
名称 分類
産地
用途 特性 比重
イタヤ
カエデ
カエデ科
カエデ属
本州、四国、九州 建築、家具、スキー、土木、船舶、楽器工芸(イタヤ細工) 硬くて粘りがある。
加工はやや困難。
仕上がりは良好。
絹糸光沢がある。
曲木にも使える。
0.67
カシ
ブナ科
コナラ属
東アジア〜東南アジアの暖帯に自生 建築材、船舶材、器具、鉋台、ノミ、カナヅチの柄机、テーブル、イス、ウィスキー樽、木刀、ステッキ、和太鼓のバチ 非常に硬く国産の材の中で一番重い。弾性があって水湿にも強い。
辺材と心材の境は不明瞭。
日本にはアカガシ、ウラジロガシ、ツクバネガシ、シラカシ、アラカシ、イチイガシなどがある。
0.83
カツラ
カツラ科
カツラ属
北海道〜九州 家具、器具、文房具装飾、彫刻、碁・将棋盤 やや軽軟で加工は容易。
仕上げは良好。
趣味の木彫りに最適。
0.49
キリ
ゴマノハグサ科
キリ属
北海道南部以南で植裁 家具、小箱、建築(天上板、欄間)下駄、装飾、木炭 やや重硬、強くて粘りがある。
加工性、仕上がりは中庸。
0.30
クリ
ブナ科
クリ属
  建材、家具、工芸品器具   0.60
ケヤキ
(欅)
ニレ科
ケヤキ属
本州、四国、九州 建築、社寺、彫刻、家具器具、船舶、装飾用突板、 曲木に適す。
日本の広葉樹の中で最優良材の一つとされる。
0.69
シナノキ シナノキ科
シナノキ属
北海道〜九州 家具、機械、合板、器具、鉛筆、 材質は均整で軽軟。加工は容易。
仕上げは中庸。
塗料や接着剤に注意が必乾燥は容易。
0.48
チーク クマツヅラ科チークノキ属 インド、マレー半島原産
タイ、ミャンマー、フィリピン、インドネシア
家具、造船材、 乾燥後の伸縮やそりがなく、耐久性と強度がある。
湿気や虫害に強い。
心材が金褐色、辺材は黄白色。
0.6
トチノキ
トチノキ科トチノキ属 北海道南部
本州、四国
器具、家具、装飾
漆器木地、建築、
合板、彫刻、土木
保存性は低い。乾燥は容易。
軽軟で加工は容易。仕上げ良好。
絹糸光沢がある。狂いやすい。
0.52
ブナ ブナ科
ブナ属
北海道
西南部
〜九州
建築内装材、家具、器具、曲材、合板、船舶、機械、パルプ 重硬だが粘りがあり曲げやすい。
乾燥の途中狂いやすい。
0.65
ブラック
オールナット

(黒胡桃/
クルミ)
クルミ科
クルミ属
アメリカ北東部
ヨーロッパ
カナダ
高級洋家具材、銃床、器具、 心材は、黒褐色〜帯紫褐色、辺材は灰色。木肌はやや荒い。粘り強く狂いが少ない。
重くて硬い。加工性、接着性、塗装性、仕上がりともに優良。
使い込むと美しい光沢が生まれる。
0.59
ホオノキ
モクレン科
モクレン属
北海道
〜九州
彫刻、製図板、定規、建具、家具、器具、楽器 保存性は低いが、軽軟で加工は容易。
乾燥も容易で仕上げは良好
狂いも少ない。
0.48
ホワイト
メランチ
フタバガキ科
南洋材
東南アジア 合板、建築、家具 散孔材。加工は中庸、仕上がり良好。
辺心材ともに淡黄白色、淡い褐色で時間がたつと褐色を帯びる。

細胞中にシリカが含まれており刃物を傷めるのが難。
揃った淡い色のとして内装材に使われることも多い。
0.5〜
0.6
マカンバ
真樺
カバノキ科
カバノキ属
おもに北海道
本州北中部
家具、彫刻、車輛、合板、建築、突板 重厚で強い。狂いが少ない。着色性が良い。仕上げは良好。日本を代表する良材の一つ。 0.67
ミズナラ
水楢
ブナ科
コナラ属
北海道〜九州 家具、フローリング、器具、車両、洋酒樽、突板 環孔材。
重硬で加工困難。
0.68
ヤチダモ モクセイ科
トネリコ属
おもに北海道
本州北中部
家具、建築、バット、テニスラケット、船舶、合板、ベニヤ合板 やや重硬、強くて粘りがある。
加工性、仕上がりは中庸。
0.65
ヤマザクラ バラ科
サクラ属
本州、四国、九州 建築材、造作材、楽器、高級家具、 硬く強靱で狂いが少ない。
加工性、着色性、に優れ、磨くと光沢がでる。
0.68
レッド
メランチ
フタバガキ
東南アジア 建築(造作)、合板、家具、車輛、 加工容易。仕上がり良好。辺材は乾くとヒラタキクイムシの害を受けるので防虫加工した方が良い。
0.5〜
0.6
ローズ
ウッド

(紫檀/
ナンベイシタン)
マメ科
ダルベルギア属
アフリカ、南米、
フィリピンを除く
東南アジア
装飾性の高い高級、家具、器具、 心材は、赤褐色の他、橙、紫。辺材は白色。
密で硬く光沢がある。切削加工は困難。
磨くと美しい木目が表れる。
0.82




針葉樹
名称 分類 産地 用途 特徴 比重
スギ(杉)
スギ科
スギ属
本州、四国、
九州
建築、建具、土木、船舶、車輛、家具、器具、樽、桶、はし 軽軟で加工性が良い。
特有の香りがある。
乾燥がはやい。
0.38
ヒノキ
(桧、檜)

ヒノキ科
ヒノキ属
本州中部、
四国、九州
建築、家具、器具、船舶、彫刻、車輪、社寺 水に強い。光沢がある。
狂いが少ない。加工性が良い。 
特有の芳香がある。

0.41
アカマツ
赤松
マツ科
マツ属
本州、四国、
九州
建築、建材、器具、車輪、土木、船舶、パルプ 油分が多く、手入れをすると飴色になる。
重硬で加工性は中庸。
0.53
カラマツ
唐松
マツ科
カラマツ属
本州北部
〜中部
建築、土木、船舶、パルプ 割れやすく仕上げしにくい。
ヤニ気が強い。
重硬で加工性は中庸。
0.53
ベイマツ
米松
(ダグラスファー、
オレゴンパイン)
マツ科
トガサワラ属
北米西部 建築、合板、船舶、車輪、土木、パルプ包装、 心材は、淡い赤褐色、辺材は淡い黄白色で境界は明瞭。
木目は直通で木肌は粗い。
杉と松の中間の材質で油っ気が多い。
重くて硬い材で耐朽性、保存性は高い。加工容易。仕上げ中庸。
0.55
ベイヒバ
米ヒバ
(イエローシーダー)
ヒノキ科 アラスカ〜
オレゴン州東部
建築、戸外用材 肌目が細かく狂いが少ない。
加工性が良く、耐久性もある。
虫害に強い。

心材は淡黄白色、辺材は白色から黄白色。
0,5
ベイヒ
米桧
(オーソンヒノキ、
グラントヒノキ)
ヒノキ科
ヒノキ属
北米西部原産
ヨーロッパや
日本にも分布
土木、建築全般、建具、家具、器具、船舶、 加工性、仕上がり良好。
磨くと美しい光沢が生まれる。
木肌は、緻密で耐候性、保存性に優れている。
心材は、赤みを帯びた黄白色から黄褐色、辺材は、白ないし黄白色で境界は不明瞭。
0.51
ベイツガ
米栂
マツ科
ツガ属
北米
カナダ西部
スギの代用としての建築、建具、防腐土台、パルプ 堅さ、加工性は中庸。
仕上げ良好。磨くと光沢がでる。
割れが入りやすく、変色しやすい
0.46
ベイスギ
米杉
ヒノキ科
ネズコ属
アラスカ〜
北米西部
外壁板、屋根材、器具、枠、土木、心材 軽軟だが耐久性にすぐれ、割って薄板にしやすい。
仕上げは中庸。
ネズコと同属。

0.37
スプルース
米トウヒ
マツ科
トウヒ属
アラスカ〜
北米西部
パルプ、建築、楽器、ピアノ響板 やや軽軟で加工容易。
仕上げは良好。
絹糸光沢がでる。
0.41
シベリア
カラマツ
マツ科
カラマツ属
旧ソ連
極東部
仮設用材、枕木、電柱 針葉樹としてはかなり重硬。
加工はやや困難。
水中での保存性が大きく樹脂分が多いのが特徴
0.51
アガチス類 ナンヨウ
スギ科
東南アジア
全域、豪州
建築、内装仕上げ材、家具、器具、鉛筆、マッチ やや軽軟で割れにくい。
加工容易、仕上げ良好。
保存性は低い。
0.48
サイプレス ヒノキ科
ヒノキ属
西オーストラリア ウッドデッキなど シロアリや腐食に大変強い  





▼接着加工製品
集成材

 集成材は、厚さ1〜3cmのひき材を、大きな節、腐れなどを切除し、縦つぎ、幅矧ぎ、あるいはさらに積層した材料で、長く、大きい断面の材が自由につくれるのが特徴です。

長所 均一な材質。耐久性が有る。安価。乾燥材であるためその後の割れ、狂いがない。
原料の種類 オーク、パイン、スプルース、ヒノキ、ツガ(栂)、チーク、ブナ、マツ、など



合板

 合板は、丸太を丸剥きした単板(ベニヤ)を、繊維方向が互いに直交するように、3枚、4枚、5枚と奇数枚積層接着した材料です。
最近は、熱帯林保護のために広葉樹合板よりも針葉樹合板が多く使われるようになってきています。

長所 ひろい面材が得られる。収縮・膨張が少ない。
短所 木口への釘が効きにくい。質感に欠ける。
原料の種類 広葉樹合板→ラワン・メランチ類など
針葉樹合板→カラマツ、米松、ベイツガ、ラジアーターパインなど
MEMO
ラワン合板やシナ合板がDIYではもっとも広く利用されています。



ラバーコア合板

 心材(コア)に集成材のひき板(ランバー)を使い、表面にベニヤをはった合板です。

長所 ベニヤよりくぎ打ちに強い。
原料の種類 シナ、センなど



パーティクルボード(削片板)

 木材をけずったり、破砕した小片を板状に成形接着した材料です。

長所 断熱、遮音性に優れている。工場廃材、建築解体材など、どのような形状の材も原料として利用できる。
短所 湿気に弱い。
用途 建築の下地材、家具心板など



ファイバーボード(繊維板)

 木材を繊維の状態にまでほぐし、再成形した板材料です。

  ▼ファイバーボードの種類
インシュレーションボード (軟質繊維板)
MDF (中質繊維板) 均質で加工性がよい。 建材、家具などに使われている。
ハードボード (硬質繊維板)



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